万物の霊長である人間は知らないことがあまりにも多い。 そのうえ、惜しくも災難に遭ったときに先入観にとらわれ、幅広い観点から解決策を探しもせず諦めてしまう。 私たち、人間はより幅広い観点からものことを考える必要があると思う。
20世紀に人間が上げた業績のうち、最もすばらしいことは医学の発展である。 神の領域とされたクローン人間の誕生ももはや可能な時代である。 しかし、後天性免疫不全症候群(AIDS)や癌は依然として人類が恐れている疾病のうち、 一つであることには変わりがない。 現在の医学界は癌とエイズの征服を目の前にしているが大勢の人々が癌とエイズに苦しんで いるのも今の医学界の現実である。 しかし、癌は既に征服されていると言えるだろう。これが一体どういう意味であるかというと。 地球を飲み込むような強烈な台風も最初はそよ風から始まる。癌もそれと同様だ。 最初、癌は軽い症状を見せる疾病の仮面をかぶってやってくる。 但し、その仮面の中の疾病は癌に発展する可能性が最も高いものである。 そのため、癌征服の大事なことは仮面の疾病をできるだけ早いうちに捕まることだ。 しかし、そういうのができず、癌が相当進行された患者であっても諦めないで手段にかかわらず 積極的な治療で癌と立ち向かうべきだ。西洋医学か、東洋医学か問わず癌を征服するのだ。
到底、治療が不可能にみえる末期癌の患者であっても彼らの尊厳な命に最善を尽くすべきだ。 それが医者としての使命であるだろう。 父と祖父とも漢医者であったからか、私は生まれた瞬間から漢方薬の匂いに親しんでいた。 慶煕大学校韓医大学に入学し、韓医者としての道を歩んでいきながら3代目としての家業も継いでいった。 大学校で学んだ人体解剖学や病理・生理学、薬理学などの西洋医学の知識と 祖父代から受け継いできた医術をミックスするとより効果があることを臨床から知り、驚きを隠せなかった。 又、同じ薬草がその扱い方により効果が異なることにも知ることができた。 いくら毒草でも独特な扱い方により毒性がなくなり、人体に有効な効能のみ与える薬草として使えた。 このような独特な薬草の扱い方や疾患を治す血脈を正確に見つかる鍼術秘法を祖父の代から受け継いできた私は実際、 臨床で難病が治療できていくのを自分の目でしかっり見届けた。
私は自分が知る全ての医学的な知識を総動員し、病気にかかったより多くの患者たちを助け、 その病気を治してあげたい。暗黒の苦しみから脱出させてあげたい。
- 著書 『羊の仮面をかぶった癌』のうち-
|